
完熟と未熟のあいだ(3) 完熟って何?
私たちは、なぜ「完熟」にこだわるのでしょうか。
そもそも、完熟とはどういうことなのか?
真っ赤に完熟したトマトというのはわかるけど、
普段食べているキュウリやナスは、完熟しているのでしょうか。
わかりません。
ゴーヤーやオクラやサトイモは?
うーん。
あれ? ちょっと待ってください。サトイモは違いますね。
違うというか、サトイモは「完熟」って表現しません。
いや、言うかなぁ? ノーノー、やっぱり言わないでしょう。
サトイモだけでなく、ダイコン、カブ、ニンジンなどの根菜類や、
レタス、ハクサイ、コマツナなどの葉菜類は、完熟という表現とは無縁です。
そう、「完熟」という言葉は果菜類(実を食べる野菜)だけに使われる。
そして、その定義は?
身近な人に聞いてみると、食べて一番おいしく熟した状態だろうとか、
熟した実が自然に落ちる直前の状態だろう、などという答えが返ってきました。
なるほど。どちらも説得力がありそうな。
日常的なレベルでは、そういう理解でも問題はなさそうな気がしますが……。
でもゴメンナサイ、確信があるわけじゃないです。
ここは、やはり専門家に確認しておきましょう。
野菜作りの伝道師、恵泉女学園大学教授の藤田智先生によれば、
農学における定義は「タネができる状態まで熟すこと」だそうです。
それでは、さっきのキュウリやナスやゴーヤー、オクラなどを例に、
私たちが食べているのは完熟なのかどうかを、
この定義に照らして考えてみましょう。
ですが、ここからの説明が少し長くなるので、次回に持ち越します。
すみません。どうか1週間お待ちください。