完熟と未熟のあいだ(5) いいぞ未熟者!

前回に続き、今回はナス、ゴーヤー、オクラなどについて、
普段口にしているものが完熟なのかどうかを駆け足で検証しましょう。

まず、ナスは完熟すると肥大して、いわゆる茄子紺の色が抜けて、
茶色っぽく、または黄色っぽくなります。

そして果肉は水分が減ってスカスカになり、中にはしっかりしたタネができて
食用には向かなくなります(食べられないことはありませんが、
美味しいものではありません)。

最近はあまり耳にしなくなりましたが、昔はへまをすると
「何やってんだ、このボケナスが!」なんて怒られたりしました。

そう、「ボケナス」とは元々は、収穫適期を過ぎて味がぼやけてしまったナスのこと。

それを「使い物にならないヤツ」という罵倒の言葉に転用したのが
「このボケナスが!」ですね。まあなんと口の悪い人がいたものかと思う一方、
どことなくとぼけた味わいも感じさせる罵倒語ではあります。

いけません、寄り道をしてしまいました。先を急がなくては。

ゴーヤーは、キュウリと同じで完熟すると果肉がブカブカになります。
そして、皮が黄色くなるのは、ゴーヤーも、キュウリやナスと同じ。
ただし、完熟したゴーヤーにはちょっと面白い点があります。

収穫せずにほったらかしにしておくと、最後には実がパカッと割れます。

写真でわかるように中が真っ赤で、見ようによってはグロテスクですが、
なんと、タネのまわりの赤い部分はゼリー状で、食べるとほのかに甘いのです。

主産地である沖縄では、昔は子供のおやつ代わりだったとか。

え? 食べてみたい?

残念でした。完熟したゴーヤーは売り物にはならないので、
食べてみたければ、自分で育てるしかありません。
ちなみに私の感想は「ふーん」という感じでした。

次に、あのネバネバが体にいいと評判のオクラはどうでしょう?

熟すにしたがってネバネバが強くなり、栄養分が増えるとか?

いいえ、そんなことはありません。

ちょっと収穫が遅れただけで筋張ってしまい、食べられなくなります。
オクラの収穫は、1日の遅れが味と食感を損なうので神経を使います。

収穫のタイミングは花が咲いてから6~7日後。それ以上放っておくと、
さやはあっという間に大きくなって筋張るので、食べられなくなります。
食べるには、ぎりぎり開花から9日後が限度でしょうか。

そして、ようやくタネができるころにはすっかり水分が抜けて
軽くカラカラになり、せっかく育てたのに
野菜売り場に並ぶことなく「お蔵」入り!(^^)!です。

つまり、キュウリやナスやゴーヤーと同様、
オクラも「未熟果」を食べていた。というわけです。
よぉ! いいぞ未熟者! と声援を送りたくなってきました。

未熟者のよさがわかったところで、今日のところはお開きです。

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ひまつぶし野菜夜話

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加藤雅也

『NHKやさいの時間』編集長

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