腰痛症①

日本における「腰痛人口」は推定で一千万人。まさに「現代病」と言っても過言ではない“腰痛”が今月のテーマです。解説して下さるのは、東京・板橋区にある「常盤台らいおん整形外科」院長の小﨑直人先生。

小﨑先生によると、腰痛は大きく三つのタイプに分類できるとのこと。

「一つは坐骨神経痛が出る腰痛、一つは坐骨神経痛が出ない腰痛、そしてもう一つは内臓疾患などが原因の腰痛――です。このうち、坐骨神経痛が出るタイプの腰痛には腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症など骨、軟骨、靭帯などの異常によって神経が圧迫されておきる痛みですが、坐骨神経痛の出ないタイプの腰痛は、“原因がよくわからない痛み”が大半を占めます。よく自分で『私は腰痛持ちなんです』と言う人の大半がここに分類されることになる。病名は“腰痛症”です」

そこで今月は、腰痛の中でも最大派閥を構成する、この「腰痛症」を中心に勉強していくことにしましょう。

腰痛症とは、画像所見などで原因が特定できない腰痛の総称。つまり、骨や軟骨の変性の疾患を除外していった末に下される病名です。

「整形外科の領域では、腰痛症患者のうち、八割から八割五分が原因不明――と言われています」と小﨑先生。患者の多さの割に、いまだ未知の領域に取り残されている病気のようです。

よく、人間は四足歩行から二足歩行に進化したことで腰に負担がかかるようになったのが腰痛の原因――という話を聞きます。小﨑先生も、それは否定しません。ただ、それだけで人間が腰痛症になる理由付けはできないとも言います。

「人間は様々な部分が進化して現在の体が出来ていきましたが、それでも、こと骨格に関して言えば、まだ進化の途上にあるんです。例えば股関節などは、いまでも四足のほうが向いている構造だし、いまの骨格筋の構成で“立っている”“座っている”という姿勢は、腰に負担をかけるのも事実。しかし、それだけが腰痛症の原因かと言えば、必ずしもそうではない。肥満を原因に挙げる医師もいますが、外来には痩せた腰痛症患者もたくさん来ますから……(笑)」

それでも、腰痛症を発症する人に共通する要因もないわけではありません。そして、腰痛症の発症を予防する、さらには症状を改善するための取り組みもあります。

次回以降、この現代人の腰に潜む魔物の撃退法について、小﨑先生に伺っていきます。

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
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この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

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長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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