腰痛症③

「毎日腰痛の患者さんを診ている整形外科医の中にも“腰痛持ち”は多いんですよ」
 
東京・板橋区にある常盤台らいおん整形外科院長の小﨑直人先生はそう笑います。しかし、そうは言ってもそこは専門家。たとえ腰痛になっても対処法を知っているので、悪化させるケースは少ないとも……。

「さすがに子供で腰痛症――というケースは稀ですが、20歳以上であれば、どの年代で発症しても不思議ではありません。検査の結果“腰痛症”と診断されたら、とにかく姿勢を改めることに意識を向けるべきでしょう。姿勢の改善なくして腰痛の改善はありません」
 
そう語る小﨑先生によると、早期で的確な治療を受け、きちんと運動療法などに取り組んでいけば、比較的早期に症状は改善すると言います。
 
しかし、発症後も何年も放置して悪い姿勢を続けてしまうと、筋肉が硬直化して、治療や運動療法の効果が出るまでに非常に長い時間を必要とすることも少なくないとのこと。早期診断、早期治療、そして何より「日常生活の改善」に真剣に取り組むことが大切なのです。
 
腰痛症の治療は症状の大小や出方によって変わってきますが、症状が軽い時は、
① 湿布薬(場合によっては内服薬)
② 腰痛体操
③ コルセット
――の三点が基本です。
 
「痛みの出方によっては内服薬を使うこともあります。最初は非ステロイド性消炎症鎮痛薬、その次は末梢性神経障害性疼痛の治療薬、それでも効果がない時には医療用麻薬などのオピオイド鎮痛薬を使う可能性も出てきますが、内服薬は消化器系などの副作用を伴うことがあるので、湿布薬でコントロールできるのであればそれに越したことはありません。
 
二番目の腰痛体操は筋肉強化、血流改善、ストレッチ効果などの面からきわめて重要な取り組みですが、ぎっくり腰のような急性腰痛の人や、慢性の腰痛症の人でも痛みが増強している時に行うのは御法度。痛みがおさまっている時に、再発予防の目的で行います。ただし、反動をつけて大きく、強く動かすと逆効果です。静かに、深呼吸をしながらできる程度の運動を心がけて下さい」

一例として、腹筋、背筋の強化になる体操を挙げました。イラストを参考にしてゆっくりと行ってみてください。
 
最後の“コルセット”は、使った経験のある人ならその快適さをよくご存じのことと思います。弱っている筋肉を強力にサポートしてくれるので、これを付けていると非常に楽なのですが、小﨑先生は注意を呼び掛けます。
 
「常時コルセットを使っていると癖になってしまい、腰の周囲の筋肉強化を妨げてしまいかねません。急性増悪期か腰痛を誘発する危険性のある作業をする時だけに限って使うようにしましょう」
 
腰痛治療の基本は体質改善。快適さだけを追い求めては、“強靭な腰”を手に入れることはできないのです。

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イラスト・クスノキミワ

このブログについて

この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

ブログ著者

長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

このブログの人々

田原朋子

ブログ最新記事