腰痛症④

前回まで、腰痛の種類や治療法を解説してきました。最終回の今回は「予防法」です。
 
「常盤台らいおん整形外科」院長の小﨑直人医師は、「腰痛を予防するには姿勢の改善、もっと言えば“日常生活の改善”に尽きる」と強調します。
 
「腰(背中)が丸まってしまう姿勢がすべての元凶。つねに意識して背すじをのばすように心がけることが大切です」
 
しかし、そうは言ってもつねに背中や腰の姿勢のことを考えているわけにもいきません。そこで小﨑先生が推奨するのが、クッションを背中に当てて座る方法です。
 
「イスに座る時に、腰と背もたれの間に、枕より一回り小さいくらいのクッションを挟みます。これにより自動的に背骨が反るかたちになり、腰の負担が軽減されます。仕事でイスに長時間座っている人、あるいは車の運転などをする人には特にオススメです」
 
ホームセンターなどに行くとそれ専用のクッションも売っていますが、それがなければバスタオルなどを丸めて使っても同じ効果が得られます。実際にやってみると、腰痛予防もさることながら、背中から腰に掛けて適度に刺激されて、実に快適です。気持ちよく腰痛予防ができるなら、それに越したことはありませんね。
 
次に小﨑先生が勧めるのが「保温」です。
 
「腰痛症の原因の一つに“血行不良”があります。夏場、クーラーの冷気を腰に当てるとすぐに腰痛が起きるのがいい例です。これからの季節はクーラーに当たることはありませんが、積極的に温めることで未然に腰痛を予防することは重要です」
 
ただし、ここで気を付けたいのが「お風呂」です。腰を温めるならお風呂が一番と思いがちですが、そこには落とし穴があるのです。
 
「温泉のような広い浴槽なら問題ないのですが、日本の家庭のお風呂の浴槽は総じて小さい。浴槽に入っている間の姿勢は、背中を丸めていることがほとんどなのです。お湯に浸かっている間は痛みの閾値が上がるので、痛みを感じにくくなっていますが、ひとたび出て体が冷めてくると痛くなる――ということは珍しいことではありません」
 
腰痛には日本の住宅事情も微妙に関係しているのです。
 
ちなみに、血行改善のためにマッサージに行く人もいますが、血行を促す目的であればソフトタッチで十分。“揉み返し”が出るような強いマッサージは逆効果です。それよりは、整形外科で教えてもらえる「腰痛体操」を実践して、より効果的な予防に努めるべきでしょう。
 
長年にわたる姿勢の悪さが積み重なって発症する腰痛――。それだけに、一朝一夕で片付く問題ではありません。小﨑先生が言うように、根気強く、あきらめず、日常における姿勢の悪さを正していく以外に本質的な改善や予防は不可能なのです。
 
「悪い姿勢を改めないでいると、たとえ治療をしても治りにくくなるだけ」と小﨑先生。
 
腰痛対策は、体と精神の“姿勢”を正すことから始まるのです。

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
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この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

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長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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