歯周病①

最近では、男性サラリーマンでも食事の後には毎回必ず歯みがきをするという人が増えてきました。日本人の口腔衛生への意識は確実に高まっているようです。
 
しかし、それでもお口のトラブルに悩む人は少なくありません。
 
中でも近年取り沙汰されているのが「歯周病」。単にお口の中の問題だけにとどまらず、心臓や血管の病気や、糖尿病の原因になることも、最近の研究から明らかになってきました。
 
そこで今月は、この「歯周病」の治療と予防について、東京都渋谷区にある「片平歯科クリニック」の片平治人院長にお話を伺いました。
 
まず第一回は、歯周病とはどんな病気なのか。早速片平院長に解説してもらいます。

「歯肉に炎症が起きると歯肉炎。これが進んで、歯を支えている骨などの歯周組織にダメージが及ぶと歯周炎と呼ばれます。歯周病とは、こうした歯周組織に起きる疾患の総称。ちなみに以前は“歯槽膿漏”などと呼ばれた時代もありますが、これは症状を示す言葉で、病名ではありません」
 
歯周病の原因は“菌”。歯周病菌と呼ばれる菌に感染すると、歯と歯肉の境目の溝(歯肉溝)の中で繁殖を始めます。すると、私たちの体ではこの菌を排除しようと免疫系が攻撃を仕掛けます。この時免疫系は本来の敵である歯周病菌だけでなく、菌に侵された組織までを“敵”と見なして攻撃をかけてしまうので炎症が起きる――。これが歯周病。菌への感染がきっかけで起きる、感染症の一種なのです。

「歯周病になると、歯と骨を結びつける歯根膜繊維という線維組織が壊されてしまい、歯と歯茎の境目に“歯周ポケット”とよばれる溝ができていきます。酸素を苦手とする歯周病菌にとっては格好の住処になり、さらに繁殖し、病勢は拡大の一途を辿ることになるのです」
 
よく、歯周病というと、顕著な出血、歯肉の腫れ、口臭などの症状が出るものと思っている人がいます。それは間違いではないのですが、こうした症状が出るのはかなり進んだ状態のこと。じつは菌の感染と繁殖が起きていても、しばらくは無症状のまま、水面下で密かに進行しているのです。そして、この「症状が出る前の段階」で、きちんとケアをすれば、歯周病による被害を食い止めることも可能だと片平院長はいいます。

「症状が出る前の歯周病は、自分で見つけることはほぼ不可能。つまり、症状が無くても歯科医のチェック(歯周検査)を受けなければ、歯周病を未然に防ぐことはきわめて困難ということになるのです。私たち歯科医が『3カ月に一度は歯科健診を!』と呼びかけるのはそのため。痛くなってからでは遅いのです」
 
そんな手強い歯周病対策。次回は「放置したらどうなるのか」という、なんとも恐ろしい内容に踏み込みます。

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
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イラスト・クスノキミワ

このブログについて

この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

ブログ著者

長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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