歯周病②

若い人はご存知ないかもしれませんが、その昔、歯みがきペーストのCMで「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」というフレーズがありました。

しかし、それはかなり歯周病が進んだ状態。初めは症状がない状態が続き、当人が気付かないまま病気が進行していくのが歯周病なのです。

自分で見つけるのが難しいからと言って放置するとどうなるのか――。そこには悲惨な結末が待っています。東京都渋谷区にある「片平歯科クリニック」の片平治人院長が解説します。

「歯周病の進行を放置すると、歯の支えが弱くなってグラグラするようになり、最後には抜けてしまうこともあります。しかも、そうした自覚症状が出た時にはかなり進行していることが多く、いわゆる“手遅れ”となっているケースも珍しくありません」
 
歯を失えば、当然あとは入れ歯やインプラントでしのぐことになりますが、QOL(生活の質)が大幅に低下することは否めません。こうならないためにも無症状の、早期のうちに手を打っておく必要があるのです。
 
しかし、片平院長はそれ以外にも歯周病を放置することの危険性を訴えます。それは「全身疾患との関連」です。

「例えば糖尿病との関連が挙げられます。歯周病に感染したことで産生される炎症性物質が、血糖をコントロールするインスリンの作用を阻害することがわかっています。つまり、血糖値が上がりやすくなるのです。糖尿病を誘発する、あるいはすでに基礎疾患として糖尿病を持っている人は、歯周病に感染するとさらに病状を悪化させる要因となることが明らかになっています。いまでは、歯周病が糖尿病の主な合併症の一つであることは糖尿病専門医の間でも知られています。糖尿病と診断された時点で歯周病が疑われる人には、まず歯科治療を勧める内科医も増えているほどです」
 
それだけではありません。片平院長によると、歯周病菌が血液を介して全身に回って感染性心内膜炎を起こしたり、動脈硬化から心臓・循環器疾患のリスクも高めたりすることもあるとのこと。他にも、歯周病菌の産生物質が血液を介して妊婦の胎盤に行くと、早期に子宮の収縮を誘発することで早産、低体重児出産のリスクにもなります。さらには、口腔内の細菌を誤嚥することで肺炎などの呼吸器疾患を引き起こす要因になるなど、もはや歯周病は“口の中の問題”だけでは済まないのです。
 
どうですか、少し真剣に考えてみる気になりましたか?

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
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イラスト・クスノキミワ

このブログについて

この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

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長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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