下味・脱水・余熱

濃い味ではなく、深い味。シンプルだけどおいしい家庭料理をつくろうと思ったら、ぜひ次の3つを意識してみてください。

一つ目は、下味

減塩を意識すると、「塩・こしょう各少々をふる」と書いてあっても、ついその少々の塩さえ、控えめにしがちだと思います。

ですが下味をある程度しっかり付ないと、後で加えても素材の調味料の味が入っていかないことがよくあります。そのため、結果的にトータルの塩分が増えてしまうことも……。

下味はしっかりめ、後から加える調味料は控えめ」を意識してみてください。素材の味がはっきりわかる「深い味」になっていくと思います。

 

脱水

二つ目は、脱水

料理用語としては、きっとあまり目にしないと思います。

ですが、「深い味」をつくろうと思ったら、この脱水を意識することが、いちばん肝心かもしれません。

「昔の野菜のほうが、味が濃かった」などということをよく聞きますが、総じて素材の味わいは薄めになっていると思います。でも、高級食材を使わなくても、しっかりとした味わいの素材を入手する方法はあるのです。

それが、脱水です。

サラダの葉野菜の水けをスピナーで除く、ゆでだほうれんそうをしっかり絞る。もちろん脱水です。

ゆでる、焼く、揚げるといった調理法も、実は素材から水分を抜く作業でもあります。下味も、その塩分の浸透圧で素材の余分な水分が抜けてくれます。

本の中では、ロールキャベツのキャベツ、大根の煮物の大根を干すことから、料理が始まっています。そう、これぞまさに脱水なのです。

脱水によって、素材を深い味わいにすれば、もちろんでき上がりの料理も深い味になり、調味料が控えめでも美味しい薄味も、同時に実現できるのです。

 

余熱

そして三つ目が、余熱です。

火を止めても熱は一気に下がりません。それからしばらくは、調理が進行中なのです。そこを計算して料理をつくると、味を深めることができます。

よく「煮物は冷めている時に、素材に味が入っていく」「ステーキは、焼いてすぐではなく少し休ませてからのほうがおいしい」などと言われるのは、この余熱の効果を示しているのです。

余熱を計算しないで火を入れてしまうと、素材に火が入りすぎてしまいます。そうすると水分が抜けすぎて、パサついたり、味が抜けてしまうことになります。

脱水は大事ですが、脱水しすぎはダメなのです。

 

『NHK出版あしたの生活 「深い味をつくる」レシピ』の関連ブログも、今回で99回を数えます。

次回の100回目は、ひとまずの最終回です。

このブログについて

深い味をつくる!

いつもつくっている定番の料理。もっとおいしく、深い味になるレシピとは?

ブログ著者

関岡弘美

関岡弘美(せきおか・ひろみ)
料理研究家・日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。京都生まれ。就職を機に上京し、出版社で料理雑誌の編集に約6年間携わる。その後、1年半のフランス料理留学を経て、現在都内で料理とワインの教室を主宰。NHKテキスト『きょうの料理ビギナーズ』など、雑誌の料理ページや広告等で活動中。著書に『カセットボンベ1本で、これだけ料理ができました!』(NHK出版)などがある。
料理ブログbon et bonheur~料理、お菓子、ワインetc. 日々の暮らしで出会うおいしいと幸せ~を更新中。

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