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いいとこどりのカレー作り

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煮込めば煮込むほど、肉の味は落ち、ソースの味はおいしくなる。


理論上、そうだというお話はしましたが、経験上も私はそう感じてます。だから、10時間肉を煮込んだカレーは、ソースはとびきりおいしいが、具となる肉は食べなくてもいいくらいおいしくなくなってしまう。だから煮込めば煮込むほどカレーがおいしくなるとは言い切れないんです。

ソースをおいしく食べたいか、具をおいしく食べたいか。そのバランスを考えてどの程度の時間、加熱するかを決めるのが大事だと考えてます。

どっちを取るか。いや、どっちも取りたい。ソースも具も両方ともおいしくすることはできないの? 欲張りな人ならそう考えるでしょう。方法はあります。それは、素材を煮込んでソースをおいしくしたうえで、煮込みに使った素材は捨てて、新しい素材を具として加えてカレーにすることです。ちょっと贅沢ですが、それを実践しているカレーもあります。

かつて、ホテルオークラのビーフカレーはその手法でした。長時間ビーフを煮込んで濃厚なソースを作っておき、オーダーが入ると新しくステーキ用のビーフをフライパンで焼いて、カレーソースをからめて提供する。いいとこどりのカレーなんですよね。

手間をかけてるなぁ、と感動したカレーのひとつです。

撮影・水野仁輔 2012年インド

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あしたの『カレーの教科書』

『カレーの教科書』には書けなかった、カレーの奥深さを語る。

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水野仁輔

みずの・じんすけ◎カレー研究家。1974年、静岡県生まれ。
1999年に出張料理集団「東京カリ~番長」、2008年に日印混合インド料理集団「東京スパイス番長」を結成。これまでのカレーの出張料理の活動は300回を超える。
『カレーの法則』『カレーの鉄則』(ともに小社刊)をはじめ、カレーに関する著書は30冊以上。そのほか自らカレーに特化した出版社「イートミー出版」を立ち上げ、マニアックなカレー本の制作を行なっている。
2013年5月に、これまでのカレー研究の全てを記した『水野仁輔 カレーの教科書』(小社刊)を刊行。

★『あしたのカレーの教科書』、第1シーズンはこちら

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