
さらりとしたとろみが絶妙 「新じゃがミルクソースのペンネ」
最小限の油脂で仕立てる、ホワイトソース風のパスタソースです。
ポイントは、新じゃが。軽いとろみと舌触りは、パスタや春野菜にからみやすく、簡単で、まさに家庭のレシピです。
小麦粉、バター、牛乳、生クリーム。かつては欧風家庭料理の基本の1つであった「ベシャメル(あるいはホワイト)ソース」は、本格的な市販品の普及の一方で、時代的な嗜好の変化によって、ぐんと軽いもの、失敗の少ない簡単なものに姿を変えてきました。
僕も、クラシックな仕立てを意識する場面を除いては、できるだけ油脂を減らし、生クリームを使わずに、サラッとした口当たりのソースにしています。
今日は、さらに小麦粉を使わないスタイル。代わりに、じゃがいものでんぷんを生かすことにします。
パスタの一皿ですし、炭水化物=糖質を過剰に摂り過ぎない意味でも、差し引きは肝要です。
新じゃがには、加熱しても損ないにくいビタミンCが含まれるので、その点でも〇。皿全体のボリュームアップにもひと役買います。
オリーブ油で炒めた野菜に、牛乳とチキンブイヨン、加熱してつぶした新じゃがを加え、軽く煮詰めるだけ。手早く固ゆでのパスタとからめれば完成です。
パスタは、筋付きのペンネを選びました。牛乳と野菜が生む自然の甘みととろみが、なんとも優しい風味。意外や、冷めても風味が落ちません。
この時期のアスパラガスの淡い味わいと、美しい色を楽しんでください。
ぜひ、お試しください。
新じゃがミルククリームのペンネ
材料(2人分)
新じゃが 1コ(150g)
アスパラガス 6本(100g)
たまねぎ 2/3コ(150g)
ベーコン 100g
ペンネ 160g
牛乳 300〜350ml
チキンブイヨンの素(顆粒) 2g
オリーブ油 小さじ1
塩 小さじ1/5
こしょう 少々
1 アスパラガスは穂先(約4cm)で切って、別に取っておく。軸の部分は、薄皮をピーラーで薄く削ぎ、斜め薄切りにする。たまねぎは縦半分に切り、それぞれ繊維に逆らうように薄切りにする。ベーコンは短冊に切る。
*写真は、1人分量。以下同。2人分も手順は同じ。
2 新じゃがは、表面を軽くこすり洗いしてから半分に切り、耐熱容器に入れてラップをかぶせ、電子レンジ(550W)に2分半かける。
じゃがいもが熱いうちに皮をむき、フォークでつぶす。
3 パスタをゆでる湯を、鍋に沸かし始める。並行して、フライパンにオリーブ油を注ぎ、弱めの中火にかける。1のたまねぎとベーコンを入れて、たまねぎが透き通るまで焦がさないように炒め、アスパラガスの軸と穂先を加える。さらに炒めて、アスパラガスの軸がややしんなりとしたら、穂先だけを取り出す。
4 3に、牛乳とチキンブイヨンの素、2の新じゃがを手早く加え、サッと混ぜ合わせる。全体にとろみがつくまで、弱火で5~6分煮る。
5 ソースを煮る間に、パスタをゆでる。沸騰した湯に塩(湯量の0.5%を目安に)を加え、ペンネをアルデンテよりさらに硬めにゆでる(それぞれの指定ゆで時間より1分半ほど短く)。十分に水けをきり、4のフライパンに移し混ぜる。
別に取っておいたアスパラガスの穂先も合わせる。塩、こしょうをふり、器に盛りつける。でき上がり。
☆次回は、4/20更新の予定です。
●鮫島正樹(さめじま・まさき)
料理家、メニュー開発コンサルタント。故・入江麻木氏に師事、ヨーロッパ家庭料理と伝統菓子を学ぶ。1983年に独立、「フード アート アンド デザイン シィ」を立ち上げる。以降、NHK「きょうの料理」講師をはじめ、欧風家庭料理をベースとした健康派のレシピを、作る楽しみとともに発信。近年は自らの暮らしと照らして、中高年のための食卓提案に力を注いでいる。著書に「魅惑の欧風菓子」(主婦と生活社)、「食べてきれいになる137レシピ」、「三ッ星サラダBOOK」(ともに世界文化社)ほか。見た目優先、美味しければ超ハイカロリー&必要以上の濃厚味もありの、昨今の食事情を憂う。台所に立てば、何をどれくらい食べているかがわかる。知って食べるなら、まだしも。
◇小鮫(こさめ)
鮫島スタジオを取り仕切る、古参の助手。師匠にも、容赦ない毒舌を浴びせること度々。無類の甘党。早、夏の日差し。当スタジオ周辺は桜色から一転、若緑色の世界に。