藤川史雄 SPECIES NURSERY その2

◆3か月分のお小遣いでサボテンを買う少年

藤川史雄さんは1968年長崎県島原で生まれた。転勤族だった父親の仕事で、小学校時代を愛知で過ごす。愛知県は、日本の伝統園芸やサボテン、熱帯植物などのいわゆるマニアック園芸が昔から盛んな地域だ。そこで過ごした少年時代が、藤川さんを植物のディープな世界に引きずり込んだようだ。

きっかけは、父親が育てていたサボテンだった。小学校に入って間もないある日のこと、サボテンの株元に出てきた子株がポロッと落ちた。その子株をもらって乾かしてから土にさしたら、ちゃんと根が出て、活着したのだ。

とれてしまった体の一部からふえるというその不思議な生態に魅せられたのか、藤川少年は、切ってはふやし、さしてはふやし、すぐにトロ箱いっぱいにサボテンをふやしてしまった。近所でサボテンや多肉植物を育てている家を見つけては呼び鈴を鳴らして、自分がふやしたサボテンと交換してもらったり、譲ってもらったりしてコレクションをふやした。

東山植物園(愛知県名古屋市)の売店で目にしたリトープス Lithops に出会ったことが、彼の植物人生を決定的なものにした。植物とは思えない形、怪獣のような質感、なんともいえない妖艶さに、少年の心は鷲掴みにされた。「やっぱり、変なものが好きなんだよ、そのころから」。

 

記事最初の画像がリトープスの一種(写真/「趣味の園芸」編集部)。この奇怪な姿に、藤川少年は魅せられた。

 

リトープスは小学生には難しい植物だったが、それでも「日輪玉」「オリーブ玉」などに挑戦していくうちに、栽培の腕もあがっていった。

「兜丸っていうサボテンが欲しくて、小遣いが月300円のときに、3か月分の小遣い貯めて買いにいったんだよ。1000円のを100円まけてもらった」と笑う藤川さん。どうしても欲しかった帝玉 Pleiospilos nelii は、お店の人に「小学生にはまだ早い」といわれ、泣く泣く諦めた。

帝玉 Pleiospilos nelii (写真/「趣味の園芸」編集部)栽培も難しく、小学生では売ってもらえなかった。

(その3に続く)

最近の藤川さんのイチ押しはエリオスペルマム Eriospermum 。このような変わった葉の種類が数多く存在する。

※藤川さんも、チランジアに関する部分で協力してくださっている
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藤川史雄 ふじかわ・ふみお  1968年生まれ。大学卒業後、建築関連会社に就職した数年ののち、 幼少の頃から植物好きだった特色を生かしたいと園芸店へ転職 店舗企画、店長などを経て、チランジア界の第一人者に師事 。2001年SPECIES NURSERY(スピーシーズナーサリー)を立ち上げる 。チランジア(エアプランツ)・多肉植物・その他個性の強い植物を 取り扱い、その普及に努める。『ワンダフルプランツブック1・2』(共著、メディアファクトリー)など、書籍や雑誌の記事監修、協力多数。
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