胸痛①

人が生きていくうえで必要のない臓器は一つもありませんが、「最も重要な臓器を一つ挙げろ」と言われれば、誰もが「心臓」と答えるはず。

生まれてから死ぬまで、いえ、実際にはお母さんのおなかの中にいる時から休みなく拍動し続ける心臓。まさに生存の証ともいえるこの臓器がある胸は、人間をはじめ多くの動物にとって最大の急所なのです。

そんな大切な「胸」に痛みが出れば、不安になるなと言うほうが無理なこと。そこで今回は、胸におきる痛みについて、東京・表参道にある「三好クリニック」院長で、循環器科医の三好俊一郎先生にお話を伺いました。

まず、胸痛という症状を伴う病気には、どんなものがあるのでしょう。三好先生があげてくれたのは、次の七つです。

① 胸部大動脈解離(解離性大動脈瘤)
② 心筋梗塞、狭心症
③ 肺梗塞(肺塞栓)
④ 心膜炎、心筋炎
⑤ 気胸
⑥ 逆流性食道炎
⑦ 胸の筋肉痛

おおむね重篤な疾患から順に並んでいますが、前半はどれも生命に関係してくる重大疾患。さすがに急所だけあって、その深刻さが伝わってきます。

「胸の痛みは、その大半が『ある日突然始まる』という性質があり、何日もかけて徐々に大きくなる――というケースは少ない。それだけに驚きや不安は大きく、あわてて救急車を呼ぶ人も少なくありません」(三好先生)

実際のところ、心臓の重大疾患は早い段階で診断と治療が行われれば命を救えることが多いだけに、救急車の要請を視野に入れるのは間違いではありません。

しかし、いざ病院に担ぎ込まれてみると、その大半が外来通院で対応可能な比較的軽度の疾患であることも事実です。

そこで次回以降は、胸の痛みから考えられる「重大な病気」「軽い病気」について、勉強していきましょう。

(6月15日につづく)

長田昭二(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。
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この症状にはこの治療?!

この症状、ただの疲れか、重病か?今すぐ病院に行くべきか否か…

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長田昭二

(おさだ・しょうじ)医療ジャーナリスト。1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、新聞社、出版社勤務を経て2000年よりフリー。新聞、雑誌の他、ラジオ、ウェブ、市民公開講座などを通じて医療情報を発信する。著書に「病院選びに迷うとき~良医と出会うコツ」(生活人新書)、「放っておくとこわいストレス、あぶない病気」(東洋経済新報社)他。ブログは「長田昭二の備忘録」。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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