藤川史雄 SPECIES NURSERY その3

◆チランジアとの出会い、そして就職

中高時代はもともと実家のあった佐賀県で過ごした。植物は育て続けていたが、思春期真っ只中だったこともあり、「ジジくさい趣味」と思われるのがイヤで、あまり人には言わなかった。

愛知に比べると、珍しい植物に出会える機会も少なかった。

植物への情熱が再燃したのは大学生となってから。横浜の大学に通いながらスケートボードと植物収集にのめり込んだ。特に興味をもったのが、ちょうど当時広まり始めたエアプランツという植物だ。

エアプランツ、学名チランジア Tillandsiaは、岩の上などに着生している植物なので土がいらない、空気中の水分を吸収するから水もいらない、という触れ込みで登場した不思議な植物だった。

チランジアを集め、育て始めた。海外の文献などを読むと、どうやら水がいらないというのは間違いらしい。まだ日本での栽培例も少なく、試行錯誤で育てていった。

「チランジアは十分な水、やわらかい日差し、適度な通風が必要なんだよ」と藤川さん。

記事最初の画像は、開花中のチランジア・ガルドネリ・ルピコラ Tillandsia gardneri var. rupicola。チランジアは、株が充実すると開花する。

 

就職は一般企業の営業職を選んだ。植物は趣味で、仕事とは別と考えていたからだ。「でも3年くらいたって、1回きりの人生、これでいいのかなーと思っちゃったんだよねー」。そして藤川さんは、サボテンの販売を手がける会社を見つけ、いきなり飛び込む。

「植物好きなので、ここで働かせてくださーい」

しかし人は足りていると言われ断られた。

3ヶ月後、その会社から連絡があり、繁忙期になるということで1週間限定の手伝いを頼まれる。1週間働いたあと、「このまま働き続けちゃダメですか?」と聞くが、やはり断られた。気にせず8日目も顔を出した。そこで根負けした社長が「仕方ないなー」と言って雇ってくれた。

植物への愛と思い立ったら即行動の行動力が藤川さんの特徴である。

その後、植物栽培の知識と経験を買われ、会社で出店することになった渋谷の西武百貨店屋上の園芸店の店長を任されることとなる。

(その4に続く)

チランジア・ブルボーサ Tillandsia bulbosa の群生株。花序が鮮やかに赤い。

 

※藤川さんも、チランジアに関する部分で協力してくださっている
『生活実用シリーズ NHK趣味の園芸 観葉植物と暮らす〜育て方、楽しみ方のガイドブック』(NHK出版 編)は、好評発売中。

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藤川史雄 ふじかわ・ふみお  1968年生まれ。大学卒業後、建築関連会社に就職した数年ののち、 幼少の頃から植物好きだった特色を生かしたいと園芸店へ転職 店舗企画、店長などを経て、チランジア界の第一人者に師事 。2001年SPECIES NURSERY(スピーシーズナーサリー)を立ち上げる 。チランジア(エアプランツ)・多肉植物・その他個性の強い植物を 取り扱い、その普及に努める。『ワンダフルプランツブック1・2』(共著、メディアファクトリー)など、書籍や雑誌の記事監修、協力多数。
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