太田敦雄 ACID NATURE 乙庭 その1

◆オリジナルの庭をつくる男

群馬県高崎に、すごい庭をつくる人がいる。「ACID NATURE 乙庭」の太田敦雄さんだ。

イングリッシュガーデンに憧れて、それっぽい庭を目指してがんばるガーデナーが多い中、彼は、それまでに見たことがないような組み合わせで彼のオリジナルの庭を作る。

今回取材に訪れたのは、長年趣味の園芸で活躍してきた園芸編集者からの推薦がきっかけだった。

『ブログでしか彼の植栽を見ていませんが、一言でいうとCOOL!って感じでした。彼の庭はモダンな建物やコンクリートの壁に付随しています。それらの無機質な物体の恐ろしいほどの存在感、重量感にまったく負けていない個性的な植物が、新鮮な組み合わせで植えられているんです。植物の不思議な色、ユニークなフォルム。日の光で輝く糸のように見えるグラス達。乙庭さんの庭には、単純に、「見たことがない」ものへの好奇心が刺激される心地よさがあります。と、同時に植物でしかできない芸術を目にしているという心地よさがあるんです』

造園を学びにイギリスへも留学し、世界や日本の様々な庭を見てきた庭の専門家にここまで言わせる「乙庭」とはどんなところなのか。太田さんはどんな人なのか。好奇心が抑えきれず、すぐにアポイントをとり高崎へ向かった。

 

◆カテゴライズは意味がない。いいものはいい

太田さんのオフィス兼店舗は、高崎の住宅街の中にあった。コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物。その前には、珍しい植物たちが並んでいる。雑然と置かれているようにも見えるが、じつは葉色や形の違う植物が計算して並べられ、風景になっている。「苗はインターネットでの通販が主ですが、ここでも販売しています」

オフィス前の鉢は植栽見本にもなっている。

 

海外からも取寄せているという植物たちは、カンナやアガベ、サトイモやナデシコなど、名前だけきくと植物好きにはお馴染みの、どちらかというと古くさい植物も多い。ところが、葉色の珍しいタイプやテクスチャーの違う品種などを組み合わせることで、「この植物がこんなふうに使えるんだ」という新鮮な驚きをもたらす。

『「ダサかっこいい」っていう感覚が好き。だからダサいといわれてる植物を積極的に使って「こう使えばかっこいい」って提示したり、マニアックといわれる植物も気にせず植栽に使う。「ダサい」「マニアック」「初心者向け」みたいなカテゴライズは意味がない。好きなものは好き。いいものはいい』
という太田さん。まさにその通りの植物選びだ。

笑顔で迎えてくれた太田敦雄さん。

 

この独自の感覚はどこから生まれたのか。どんな活動をしていて、これからどんなことをしようとしているのか、その秘密を語ってもらった。

(その2に続く)

 

(左)コロカシア ‘コールマイナー’ Colocasia esculenta ‘Coal Miner’ サトイモの園芸品種。すすけた色合いが渋美しい。暑さにも強く、夏の庭に映える。

(右)インディゴフェラ ‘リトルピンキー’ Indigofera ‘Little Pinkie’ 昭和の香りのするニワフジの仲間。太田さん曰く、「昭和の読み替え。歴史の再評価です」

 

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太田敦雄 おおた・あつお 1970年群馬県伊香保町生まれ。植栽家。立教大学経済学部卒業後、一度は東京でサラリーマンになるが、実家の設計業を引き継ぐために群馬に戻り、業務の傍ら前橋工科大学で建築デザインを学ぶ。趣味で植栽を楽しんでいた自庭「乙庭」が建築家・藤野高志氏の目にとまり、植栽を依頼されたことから、本格的に植栽家としての活動を始める。現在は建築と植物の融合を目指す植栽家として活動しながら、独自のセレクトによる植物の販売も行う。「ACID NATURE乙庭」代表。

ACID NATURE 乙庭のホームページはこちら

 

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